会社運営上最低限作成しておくべき5つの文書

注文、申込、金銭のやり取りなど法律関係を形成する行為(法律行為)は、文書の作成を要しないことが原則ですが(不要式行為)、万一トラブルが発生したときなどに備えて文書を作成しておくと、その文書には証拠としての価値が残ります。

会社等を運営するに際して、万一のときのために最低限作成しておくと良い文書には、主に以下の5つがあります。

1)契約書

契約を締結する際に契約当事者や契約条件、免責事項、責任の範囲など、契約の内容を記載した文書です。契約書を作成しなくても契約は成立しますが、以下の理由から契約書を作成することが望ましいです。

(1)契約内容の明確化
(2)紛争が生じた際の証拠
(3)文書に落とし込むことで慎重な対応が出来る

賃貸借契約書、業務委託契約書、請負契約書、雇用契約書、リース契約書、サービス利用契約書など様々な契約書があります。

2)領収書

債務の弁済を受領したことを記載した文書で、特に法律上定められた形式はありませんが、民法上「受取証書」として扱われるため、税法における経費として処理をする際に必要になります。経費として扱われるためには領収書に年月日、相手先、内容、対価等を明記する必要があります(その他各種法律によって記載すべき事項は変わります)。

一般的なレシートは、金額などの記載しかない場合、上記の税法上の要件を満たさないため領収書として扱われない可能性があります。

通常の領収書の他、取引明細書、引落明細書、WEB上の取引画面をプリントアウトしたものなども領収書として取り扱われます。

3)委任状

ある者に一定の事項を委任したことを記載した文書。弁護士、司法書士、行政書士などの専門家に役所等への申請、届出など法律的な手続きを依頼する際、委任状がなくても委任契約は成立しますが、第三者に権限を委任する旨の文書を作成することで証拠としての役割を果たします。

4)往復文書

発注書、発注請書、申込書、申請書、請求書、契約解除通知その他意思伝達を目的とした文書。法律上作成する必要はありませんが、文書化していることで証拠としての役割を果たせます。基本的には到達主義で相手方に文書が到達した時点で効力が発生します。

5)稟議書

会社の業務運営上、一定事項の案件や提案、報告等を会議を通さずに、複数の部門や上長に回覧、連絡し、決定権者の決裁を受けるための文書。意思決定の過程と、責任分担の範囲、意思決定の合理性などを文書化することで内部的な証拠資料として残します。経営責任等が問われる裁判や、民事訴訟等で裁判所への提出が必要となることもあります。

これらの他、議事録や社内規程なども文書化すると良いでしょう。また、文書化することで法律行為が成立するもの(要式行為)もあり、遺言、手形、婚姻、定款などがこれにあたります。その他労働契約では決められた労働条件等を文書として明示することが定められており、注意が必要です。

このように、法律上は文書化せずとも様々な行為によって法的な効力が発生しますが、実際には文書として残しておいたほうがよい事柄が山積し、その事務作業に追われるのが悩ましいところです。

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